坂上

YES MY シリーズ

TNNテレビ新潟のウリは地域密着の自社制作番組であった。「YES MY」のタイトルがついたミニ番組がたくさん作られている。「YES MY お店往来」、「YES MY 学校自慢」などなど、先発局に比べて県内各地を取材した自社制作番組が群を抜いて多かった。新局という立場なので、県内のファンを増やすための戦略の柱でもあった。

このYES MY のキャッチフレーズは、その後もあらゆる番組やイベントで活用された。YES MY にいがた、YES MYお天気、YES MYスキースクールなどなど。YES MYシリーズはTNNの明るいイメージとして県民にも受け入れられたように思う。

営業マンは、それらのYES MYシリーズのイメージや番組取材をテコにして、スポンサーを獲得しようと各代理店やスポンサーを歩き回った。番組提供をしてくれるレギュラータイムスポンサーの獲得が第一の目標。これは毎週1回、決まった番組の提供スポンサーとして月額いくらで販売される。そしてもう一つが、タイミングに合わせた期間限定のテレビコマーシャルを流す、いわゆるスポットCMと呼ばれる広告の獲得が主な仕事だった。まずはそれらの仕事を覚えることが新入社員の大切な仕事。独自の企画を考えて仕掛けていくのはまだ先のことだ。

大学生の身分で2月1日から営業で走り回り、無事に開局を迎えたが、営業マンは休みもないほど忙しい日々であった。もちろん営業だけでなく、報道、制作、技術、業務など、社内の全ての部署が多忙を極めていた。日本テレビからも応援スタッフの方々に来てもらっていたが、この会社で働く誰もが、全くの新しい経験の中で手探りしながら仕事を一つずつ覚えていった。

自分自身も見知らぬ土地での一人暮らしで慣れないことも多かったが、仕事自体は何もかもが新鮮で、とても楽しかった。いろいろな人々と出会い、仕事の話や世間話など、営業の基本を学んでいく。TNNで働く誰もが希望に満ち溢れ、生き生きと輝いていた。これは新局ならではの光景であった。